パネルディスカッション

遺族の生活を支える


宮城年金・労災サポート 社労士の会 社会保険労務士 阿部陽子
弁護士(元ケースワーカー)                  太田伸二
東北希望の会代表                       前川珠子
コーディネーター                         土井浩之

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阿部:社労士。手続きをメイン。年金、労災などの実務。社労士みやぎ年金・労災サポートネットワーク:社労士6名が有志で集まって作った会。

遺族年金の概要:国民年金だけの場合、遺族年金から支給。サラリーマンは厚生年金と国民年金(要件が合えば)。厚生年金基金に入っている場合は、基金によって。共済年金(公務員)も二階建て。過労でなくなられた場合は、労災からも受給可能。両方からもらう場合は調整。

 

太田:山形県で県職員、生活保護のケースワーカー3年。弁護士になってすぐは東京。路上生活者を年間10人くらい住居に戻してきた。仙台では、生活保護。東北生活保護利用支援ネットワーク。弁護士、司法書士の費用は、日弁連で出してくれる。

生活保護の受給に関しては、難しい。バッシングもある。

親族調査があるので、二の足を踏む。不正受給は許していけないが、そうでなければ権利である。

 

Q前川:遺族年金は黙っていてももらえるのか?

A阿部:厚生年金などは納めるときは、納めなさいというが、もらうときは申請しなければいけない。待っていてももらえるものではない。

A前川:すごく大変で、何をやっているかわからない。遺族年金で大変だったのか、受給できるのか一番に知りたかった。国民年金だと子どもがいる配偶者とか。年金事務所に行って聞く必要がある。厚生年金は給料額によって変わる。

Q年金の請求先は?

A阿部:共済は共済の窓口。ケースバイケース。基金に入っていた場合は、基金にも。

Qどこに行って何をしたらいいのかは、社労士に聞けば分かる?

A阿部:トータルで見るとしたら社労士かな?

Q手続き後どのくらいから受けられるのか?

A2〜3ヶ月はかかる。

 

Q土井:当面必要な金はどこから借りられる?

A太田:社会福祉協議会、生活福祉資金は低所得者向け。旦那だけ働いている場合。保証人を求められる場合。金額も大きくない。借りるにしても就学資金的くらいのものというイメージ。自治体によってまちまちなのは、法的に決まっていない部分。その場合、件の社会福祉協議会に言うと、市町村に指導してもらえる可能性あり。生活のためのお金を借りるとしてはあまり適していない。そのほかに資産がないということであれば生活保護も一つの手である。生命保険なども入っていないなど。地域性や世帯状況で変わるので一概には言えない。月10万以上、20万に届かない場合はもらえるかもしれない。車の所有していれば原則認められないが、障害を持っているあるいは、不便な場所、勤務が深夜など車が必要であれば認めてもらえることもある。仮に要件を満たさないとしても、自立していける場合は、おいておける場合もある→だいたいの場合、役場は「処分してください」と最初から言ってくる場合もある。その場合、弁護士・司法書士と一緒に行くと態度も変わる。

A土井:公的なお金も借りられる場合もあることを抑えておく必要がある。

Q土井:亡くなった人が借金を残した場合は・

A太田:どれだけ借金があるのかを調べるのが大事。亡くなった人だけが知っている可能性があるので、郵便物などを見る。相殺して借金しているのであれば、相続放棄。期間は相続が起こってから3ヶ月が原則。その中で調べるだけ調べて、判断。限定承認の制度もある。プラスなら引き継ぐがそうでなければ相続しない。後々、借金が判明した場合は、相続放棄をすることもできる。わからなければ弁護士に相談。プラスだと思っていたが、マイナスだった場合でも、放棄できないときもある。払う整理、払わない整理。裁判所が払わないという決定、負けてもらって払うという決定。柔軟な対応も可能。相続放棄は家庭裁判所。遺族が裁判所に行けばわかりやすく説明してくれる。

A土井:お金のことに関しては、解決しないことはない。ただ、早めに相談に来て欲しい。相続財産を使ってから放棄はできない。個別のケースは希望の会、例会の後に相談可能。申請等は安く設定。来てもらえば専門家につなぐことが可能。

Q土井:立ち上がれなくてどうしようか?カウンセリングとかメンタルな部分については?

A前川:臨床心理士の先生を紹介されて1年間親子カウンセリング。月2回くらい、1時間半ずつ。相談する相手がいない&息子が多感な時期。親子カウンセリングは別々。この状況であれば普通の状況であるといってもらうのがありがたかった。当然のことですと言ってもらえた。

Q土井:カウンセリングを受けるとどうなる?

A前川:密室の中でぶつかり合うことが多かったが、別の人に聞いてもらえるので楽になった。

Q土井:なんで希望の会を作ったのか?

A前川:息子と二人で名前を考えた。希望って何?って感じだった。それでも、夫が夢を大事にする人だったので、失った命を未来につなげることだけが希望だと思った。失った人と一緒に生きていこうと思った。泣きたいときは泣いて、専門家のヘルプを得られる場所として作った。

Qどうしたらいいかわからないという状況で1年も2年も過ごしてしまう。同じ状況の人たちと会うことで、居場所を得る、生きていけると考えられる、専門家がいる。

A土井:専門家、あご先生やら東北大の心理臨床教室とも繋がっている。分かち合いが必要であればそうするし、カウンセリングが必要であれば紹介。この1年でも数人参加してきた。過労死、過労自死に関しては認定されているかどうかは問わない。

Q土井:社労士の方を紹介し世話してもらう場合、遺族は心配してた状態だったと思うが、何か工夫していることはあるか?

A阿部:会社の人事を見ているが、最近うつ病など多い。会社ではきちんと休ませてくれる。手当金などもある。鬱になって働けない場合、障害年金をもらえる可能性がある。厚生年金の3級をもらえるケースもあった。

A太田:業務に関して、債務整理に関しては年収の3分の1までしか借りられないので、多重債務で苦しむ方は減ってきている。多くは問題を抱えている、知的・精神・身体的な障害を持っている場合。打ち合わせに来てもらえない場合もある。家族から連絡してもらうことなどもある。相手が緊張している場合、プレッシャーをかけないように注意。弁護士で業務しているといろいろある。仙台弁護士会が東北大臨床心理士と勉強会を続けてきた。弁護士が臨床心理士から学んでいることがある。この取り組みは面白い。

 

土井:希望の会では、東口じゅおんじで子どものための企画を検討中。HPや新聞などで紹介。子どもは親が一人でいると、頑張りすぎる傾向にある。思春期後期に自分がどこにあるのか、自傷行為、引きこもり等の問題を生じることがある。1221日、子どもが子どもに戻れる日を作ろう。

 

Q石垣:どこから?

A土井:ホームページから、パンフレットから。愛の会(自死遺族だけの会)から紹介。

A前川:遺族の方は、土井先生の事務所が連絡先になっている。希望の会の例会を紹介。

 

Q:遺族年金は65歳以降はどうなるか?

A阿部:自分の老齢年金がもらえるので、減る。

 

Q老齢と合わせて?

A阿部:両方もらえるのではない。

 

Q石垣:必要な支援の時系列的変化

A前川:最初は何もできないが、本人が求めた場合にそばにいる。

誰にも言えない場合は、遺族だけの集いがあるのでそこを紹介。話したいときに話せることが重要。

A土井:きたいと思えば来れる場所があることが重要。居場所を提供することが大事。そこから先、押し売りすることは避ける方が良い。

A前川:普通に接してもらえることが良かった。

 

Q土井:自分のことを話さなければならない署名活動を始めた頃と現在心境の変化はどうか。

A前川:はじめから全て公開していたので、話すことはOKだった。過労死を止めようとする人がいるのだということに気づいた。最初は、こんな社会は許せないという攻撃的な態度だったが、社長達の会に行ったときに、「自分もそうなったことがある」という体験を聞き、雇う人と雇われる費とだけの問題ではない。歯車が少しずつおかしくなるような全体の問題だった。それ以前は、雇う側の問題であると考えていたし、そういう人と話すことがなかった。

A石森:遺族の会の代表で一番町に立った。115人でお願いしたが全然集まらなかった。それから親戚や近くの方にお願いした。学校の校長先生にお願いしたり、同窓会でお願いしたりした。

 

 

Q服部(大学でワークライフバランスを研究):何ができるか?

A土井:ある時期を過ぎると止められなくなってしまう。脳疾患等と同じメカニズムのようだ。人間同士の関係でなぜそこまで追い込んでしまうのか?職場で誰かが誰かを追い込むということはどういうことなのか?本当は人間と人間の関係はどうあるべきなのかを考えることが必要。助け合うことによってストレスが減る、興奮が下がる。→追い込まないというよりも、助け合う社会をどうやってつくっていくのか考えていくのが重要。追い込まない社会がゼロポイントになって、その先に人と人とが助け合う社会を作れると思う。

 

太田:労働事件にも取り組んでいる。ブラック企業の問題にも取り組んでいる。若い方にも過労死・過労自死する方がいて、取り組んでいく必要性がある。若者を使いつぶす企業を許しておいては社会自体がダメになる。訴訟のみならず、社会で関心を持ってもらうことが必要。働くことで人が亡くなるのはおかしい。そういうことのない社会を作りたい。

 

阿部:年金は改正・改正の繰り返しの切り貼り。障害年金でも初診日に年金を払っていなかったためもらえないなどといったことがある。ケースによって違ってくるので、自分の年金に関して相談して欲しい。

 

閉会の挨拶 前川:起こったことは変えられないが、これからの未来を変えることはできる。皆さんと繋がっていければと思います。

 

 



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